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東京都新宿区 Hさん 男女トラブル・・vol.2
電話を切った私は録音した会話の内容を何度も繰り返し再生した。
30分余りの電話の中で
二人で会わせて欲しい。仲直りできたら別 れる。」という言葉を何度も繰り返していた。
別れるも何もそもそも交際しているわけではない。
まして仲直りなど彼女の心理状態を察すれば考えられない。
飲食店のオーナー店長であり妻子を養う良識ある顔の裏側で、娘ほど年の離れた女性を金で買い弱みを握り関 係を強要するおぞましいもうひとつの顔が存在していた。
言葉の端々に現れる矛盾点、思い込みの強い性格から前島の執拗な異常性格を知った。
例えマスターテープを回収できたとしてもコピーされている可能性が高い。
いやしないはずがない。
こちらがビデオテープの回収にこだわり要求し続けることは、弱みをさらけ出し交渉の主導権を前島に握られる結果となることは容易に予測できた。
こちらはそんなことには興味がない。
そう思わせる必要があった。
まず私は前島に対し、私を介し納得させなければ決して愛さんと二人で会うことはできないことを認識させた。
前島のような異常性格者は扱いようによっ ては非常にコントロールしやすいのだ。
私には医学的根拠はわからないが、経験上ストーカー犯罪に走るような思い込みの強い粘着質なタイプは思考回路が一方通行に働いているように感じる。
それだけに、曖昧ではなくはっきりとした方向付けをしてあげると、手のつけられない暴れ馬でも従順に乗りこなすことができるようにいとも簡単に扱いやすく変貌するものだ。
私は敵である前島に共鳴し信頼を得る関係を構築する作戦を実行した。
前島ははじめ私に対して敵対意識をむき出しにしていた。
そして時折、彼女といつまでも会わせない のなら、いつ自分が強硬手段に出てビデオをバラ撒くかわからないぞという脅しをかけてきた。
「そうしたいなら、いつでも どうぞ。
そうすることで愛さんがあなたと二人で会いたいと思うというなら止めない。
それより俺が理解できないのは、あなたはわざわざ罪を犯して店も家庭も壊したいのか・・
もちろんそうなれば愛さんと会うこともできない。
あまり効果的な方法とは思えないな。
それより仲良くしたいなら好かれる自分にならないと いけないね。」
前島は面喰って拍子抜けした様子だったが、それならどうしたら愛さんの気持ちを自分に向けさせることができるのか教えて欲しいと食い下がってきた。
私は前島との心の距離を徐々に縮めていった。
私とコンタクトを取り続けている限り前島は強硬な手段は執らない。
ある時は前島の経営する店に興味を持ちいずれあんな店を やりたいと話した。
前島は喜んで自分の付き合いのあるコンサルティング会社を紹介してくれた。
前島とのやり取りが始まっ て実に1年以上の時間が流れた。
依頼人は苛立ち私に詰め寄った。
しかし付け焼刃の証拠では立件できないだろう。
仮に逮捕されたと しても事情聴取に対し自供せず起訴されなければますます前島をエスカレートさせる結果になることは目に見えている。
「私がいる以上は愛さんに直接危害を加えることはありません。時期が来るまでお待ちください。」
それから更に数ヶ月間私と前島のやり 取りは続いた。
前島はすっかり心を開き、私のことを友人であり理解者であると認識していた。
期は熟した。
私は最後の誘導を実行した。
「前島さん、ひとりの女性をそこまで思い続けることができるって羨ましいような気がするなぁ。 俺にもその純情さがあったらなぁ・・
良かったら慣れ染って言っちゃおかしいけど、愛さんとの思い出話でも聞かせてくれないか?」
前島は愛さんと初 めて客として出会った日から気に入って通い詰め、外で会うことを交渉し、隠し撮りした上でそれをネタに意のままにし続けた。
彼氏さえ現れなければ邪魔されなかった。
あの男のことを彼女は愛していない。
二人で会うことができれば仲直りできると思って脅迫文を送り続けたと語った。
愛さんと彼氏は警察に被害届を提出した。
担当の刑事は事件の証拠として私と前島の会話記録を欲しがった。
前島は実刑判決を 受け家宅捜索によってビデオテープは押収されたという。
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(管理者) 2010年4月22日 14:16
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