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仙台市青葉区 Bさん 失踪の理由vol.2

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捜索を開始して4日目だった。

私は彼の書斎にいた。

何か手掛かりになるものはないのか。

焦りを覚え始めていた。

携帯電話の発着信履歴やその他の情報からもこれといった手掛かりになるものはなかっ た。

私はそれが気になっていた。

人が自らの意思で行方をくらます場合は手掛かりをすべて消そうとしてもなんらかの痕跡が 残ってしまう。

しかし、彼の残した痕跡は家族に残した遺言とも取れる置手紙ひとつ。

これが本当に死を覚悟した者が取る行動であることを経験上知っていた私は最悪の事態を予測していた。


ふと彼の書斎にある小さな木箱を見つけた。

渓流釣りを趣味としていた彼がいつか私に手製の毛針を自慢げに見せてくれたことがあった。

木箱の中に几帳面に並べられた自慢の毛針を見つけた。

その時、岩魚に魅せられた彼 の語り口を思い出していた。

「岩魚って魚はな、本当にきれいな水にしか住めないんだよ。
澄んだ水だからこそ人間の浅ましい欲深さが水面に映った時には絶対かかっちゃくれない。でもな、欲を捨ててこの針が自然に溶け込んで流れに身を任せた瞬間、虎視淡々と岩の陰に身を潜めている岩魚が豪胆に喰いついてくるんだよ。

清濁合い合わせて飲むってことが俺にはできないんだよな。岩魚と一緒さ。」

(俺は汚れた水には住めない魚なのかも しれない。)

彼の言葉は、そうつぶやいていたように聞こえた。

息子を助手席に乗せ父親が岩魚釣りに出かける穴場を目指した。

採石場のわき道から抜ける舗装のない林道に車を走らせると道のない林の木々の合間に枝葉がかけられたボンネットを見つけた。

枝葉を払い落すとフロントガラス越しに、もうすでに息絶えている彼を発見した。

練炭による一酸化炭素中毒が死因だった。

解剖によると死亡から1週間が経過していた。

周りの人の面倒をよく見た男だった。

家族すらも予測し得なかった結末がここにあった。

自殺の直接的な動機については迷宮入りとなった。

彼の純粋な心は渡世の泥に合いまみれることに耐えられない程の繊細さを持っていたのかもしれない。

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